4 / 18

18枚の紙切れ

でんきタイプ:ぱちぱち山

読了目安時間:約 4 分です。

 むかーしむかしの、ことじゃった。
 ここはとある村である。
 この村の大きな山のそばのとある小屋には、真面目だけど心優しいお爺さん、少し気が強いけど頼りになるお婆さん、『権力』というワードが絡んでくるとついつい熱くなってしまうパチリスが住んでいました。三者は、仲良く……例えばお爺さんは山へ山菜採りに出かけ、お婆さんは家に迫り来る外敵と肉弾戦をし、パチリスはそんなお婆さんがしくじらないように御得意の電気攻撃でサポートしたり、互いに助け合いながら、平和に暮らしていました。
 そんな日常のとある一日のことである。

「おいババア、山菜を半分よこしな!」
「あら、意地悪婆さんじゃないですか」

 小屋の玄関扉を勢いよく開き、隣に住んでいる意地悪婆さんがやってきました。目的は優しいお爺さんが山で収穫してくる山菜の横取りである。酒ばかり飲んで働かない意地悪爺さんの代わりに生計を立てている意地悪婆さんは、彼女なりの精一杯の生きる権利を果たしにきたという訳です。
 そこで、パチリスが言いました。

「やい、意地悪ババア! 確かにババアにも生きる権利はあるけれど、それはウチの婆さんの生活の最低限の権利を尊重してからにしやがれクソババア!」
「なんじゃと、パチリス! わしゃ山菜をよこせと言っとるんじゃ!」
「黙れババア! 俺は権利を守り抜くためなら、ババアを電撃で焼き殺す事さえ厭わないってんだよ!」
「なにを〜!」

 パチリスと意地悪婆さんは睨み合う。お婆さんはそんな二者を見て、無駄な争いが起こらないようにとオロオロする。もしもの時は自分が肉弾戦に出なければと決意し始めた、その時である。

「ただいま。今帰ったよ、婆さん、パチリス」
「……お爺さん!」
「爺さん!」

「……ん? 隣の意地悪婆さんじゃないか。いらっしゃい」

 優しいお爺さんは意地悪婆さんに明るく返事をする。意地悪婆さんはそんな優しいお爺さんに対して大声を出す。

「帰ってきたか山菜ジジイ! さっさと半分よこしな!」
「テメェ、クソババア!」

 パチリスが電気袋から電流をパチパチと鳴らしながら、身を乗り出した。しかし、優しいお爺さんはそんな双方に対して、優しい笑みを浮かべるのだった。

「そうかい、山菜が欲しかったのかい。なら、今日のお昼ご飯はウチで食べていくといい。意地悪爺さんも呼んで、みんなで山菜ぱーてーをしよう」
「な、なんじゃと……」

 意地悪婆さんはマメパトが散弾銃を食らったような顔をして驚く。パチリスはそんな優しいお爺さんの言葉を聞いて「やれやれ」と嘆息する。

「みんなでご飯を共有する『権利』か。なかなかに粋だぜ、爺さん。まったく……しょうがねえな。山菜、食おうぜ」

 そうしてこうして、意地悪ファミリーと爺さん、婆さん、パチリスは仲良く山菜をふんだんに使った料理を食べて、お腹を満たした後は沢山与太話に花を咲かせたとさ。
 結局、パチリスの話の中でのポジションと活躍の度合いは行方知れずでしたとさ。

 めでたしめでたし。

 

2018年2月12日作成
2018年2月12日更新
4 / 18